京都東山三条 白澤堂ブログ〜東洋の医学と哲学

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春の養生法

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こんにちは!!!

京都東山三条の

鍼灸接骨院 白澤堂HAKUTAKUDOU

院長の長濱です。

当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

今回は春の養生を東洋医学の観点でお伝えできればと思います。

春は物事が新しく始まり、人々の生活環境も変わる時期。

 

新しい生活が始まり良いこともあれば、ストレスもあるわけで、冬の寒さから春の暖かさへと温度の変わり目でもあり、自律神経が乱れやすく、身体の調節をするためにエネルギーを取られて疲労してしまいがちです。

 

そのような春に養生に反した生活をしてしまうと、夏になって夏バテや熱中症、風邪などで体調を崩してしまいやすくなるので、今回は春(2/4立春〜5/6立夏まで)の養生法についてご紹介しましょう。 

 

春の養生法の3つのポイントをご紹介します!

 

 

 

①ストレスを避けて伸びやかに過ごす

医書である《黄帝内経》によれば、春の三ヶ月を「発陳」の季節といいます。

 

「発陳」とは、万物が古いものを押し開いて、新しいもろもろの物を生育し、その姿形をつらね現すという意味です。

 

冬の厳しい寒さが終わり、わずかに陽気が芽生えだし、徐々に物みな全てが生き生きと栄えてくる時期です。東洋医学では、こうした自然の様子が人体観にも活かされています。

 

例えば《黄帝内経素問・四氣調神大論》には「少し遅く寝て(子刻の午後11時から少々遅寝)早く起き(卯刻の午前5時)、散歩と軽く運動をして、髪を解きほぐし、身体をのびやかにし、心持ちは生き生きと生気を充満させて、生まれたばかりの万物と同様にするのがよい」と書かれています。

 

これに反して、春の新しい環境に慣れないうちから頑張りすぎたり、気持ちが焦ったりで、ストレスをためてしまうことが過ぎれば、肝臓の気が高ぶってしまい、失調をきたしてしまいます。

 

どうして肝臓?と思われることでしょう。

 

東洋医学の人体観において、肝臓の気は「昇発・曲直・条達」などと云って、要するに上や横へすくすく伸びて広がろうとする性質をもっています。

 

このような性質は、植物が芽吹いてすくすく育つ春の気と似ているので、春になると肝臓の気が自然と旺盛になりやすくなるのです。

 

寒い冬から春になり、寒気に抵抗して陽気が上に突き上げ、地面に伏していた事物が地上に芽生え生長するかのように、肝の気が旺盛になると身体の上部に陽気が昇りやすくなり、のぼせたり、眩暈がしたり、花粉症などのアレルギーがでたり頭部の異常が多くなります。

 

このような理由で、のびのびリラックスが大好きな肝臓の気を、ストレスで抑えつけるのではなく、桜や菜の花など色づきはじめた春の清々しい風景を見ながら散歩をしたりして、大いに楽しませてあげることが大事なんですね。

 

具体的には

・軽くて動きやすい服装でしめつけない

・朝は少し早めに起きてウォーキングや運動をする

・ストレスを感じる事はしない

・散歩をしながら景色を楽しむ

・軽いストレッチを行う

・極端に暑い寒い環境を避ける

・クラシックなど弦楽器系の音楽を聴く

などです。

 

②食べ物は酸味を摂りすぎず甘味と辛味を摂る

唐の時代の医者である孫思邈の記した《千金方》には「春七十二日、省酸増甘」とあり、酸っぱいものを控えて、甘いものを摂りなさいとしています。

 

東洋医学では、酸味は気を収斂させ抑えつける性質があり、春の陽気の生長と肝臓ののびのびと広がろうとする性質に反してしまいますので、控えるようにします。また、春には消化器系統である脾臓の機能が低下しやすく、甘味を摂ることで脾臓の働きを強めて倦怠感を解消します。

 

また、《黄帝内経素問・藏気法時論》には「肝主春…春苦急、急食甘以緩之。…肝欲散、急食辛以散之」とあり、

 

春は筋のひきつりや痙攣を引き起こしやすいので、急いで甘い物を食べて緩めましょう、肝臓は発散を好むので急ぎ辛味の物を食べて発散させましょうと説いています。

 

さらに、春と肝臓の気の発散を助けるのが辛味です。冬は閉蔵の季節といい、諸々の物が閉じこもってエネルギー消費を抑えていますから、当然毒素も身体の中に溜まりやすいのです。

 

この毒素を発散させる意味でも、辛味を春に食するのは良いことなんですね。

 

具体的な食べ物は、❶ダイコンと❷香菜がオススメです。

 

❶ダイコン

中国では昔、立春の日に、貴賎に関わらずダイコンを食していました。この習慣を「咬春」と呼ぶそうです。

 

生でも火を通してでも構いません。

 

ダイコンのもつ僅かな辛味が良く、繊維も含み、消化を促進して食欲が増し、胃腸の働きを良くして、咳や痰を止める作用もあります。

 

春には消化器系統である脾臓の働きも弱りやすいので、ダイコンの辛味や甘味の物を食べるのが良いのですね。

 

 

❷香菜(シャンツァイ、パクチー)

独特の香りで好きな人と苦手な人に分かれますが、この香りは揮発性化合物である(E)-2ドデセナールなどのアルデヒドと総称される成分が関係しているようです。

 

本草綱目》には、「香菜の辛温性の味は、内は心脾に通じ、外は四肢に達し、一切の不正の気を払う」とあり、セリ科の植物の芳香が人体の気の巡りを改善する重要な養生食であることがわかります。

 

香菜が苦手な方は、芹(セリ)や、芹菜(セロリ)で代用しても構いません。セリは《千金方・食治》に、「益気力、去伏熱」とあり、身体にこもった熱を取り去ります。春になって代謝が良くなり、熱がこもって眩暈やのぼせ、花粉症や皮膚のアレルギー(湿疹)を引き起こしやすくなるので、セリの涼味が清熱してくれるのです。

 

この他にも、辛味や発散の効がある食材は、アブラナ、ニラ、玉ねぎ、カラシナ、ナツメ、落花生、シュンギク、カブ、ウイキョウ、タケノコ…などがあり、要するに旬の物を食べると良いのです。

 

ただし、食べ過ぎれば発散しすぎて気が漏れてしまいますので、何事も適度に済ませましょう。笑

 

 

③風にあたりすぎず、身体を冷やさない工夫を

《千金方》に春の服装を「下着は厚く上着は薄い、陽の生気を保養する」とあります。

 

初春の頃は寒気の影響を受けやすいため、急に着るものを減らさず、風にあたりすぎないことが大切です。

 

これは、春の陽気が人体の皮下と筋肉の隙間を和らげるため、免疫力と寒さへの抵抗力が弱るからです。春は風がよく吹き、風は寒気を運ぶため、防風を心掛ける必要があるのです。

 

また、陽気を保護する意味では、運動をしすぎたり、厚着をしすぎたり、長くお風呂にはいって、汗をかきすぎてしまうこともよくありません。

 

多少の発散は春に良いのですが、汗は陽気であり、発汗が過ぎれば陽気を損ない夏に発病します。

 

春は陽気の保護に目をくばり、「生」の気を養うことに気をつけましょう。

 

 

鍼灸接骨院《白澤堂HAKUTAKUDOU》

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