2019年の運気
みなさま、こんにちは!!!
京都東山三条の
院長の長濱です。
当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
五運六気、略して運気と呼びますが、《黄帝内経素問》中にある天元紀大論・五運行大論・六微旨大論・気交変大論・五常政大論・六元正紀大論・至真要大論の七篇で構成され、総じて運気論と呼ばれます。
宇宙の法則および自然の気候変化が、万物と人に対する影響を論ずる天人相応の論理思考と観念です。
今回は、本年である2019年の運気をまとめてみます。
運気を理解するには、陰陽や五行に関する基礎知識や専門知識が必要になるのですが、
当ブログ内で個別の知識をセクションに分けて、
別の機会に追々解説していこうと考えています。
またそのような知識がなくても、
読んで頂ければなんとなく今年はどのような年になるのか雰囲気は伝わるかと思います。
今回挙げた運気が現実の気象と一致しているかどうか、あげつらうのも面白いかもしれませんね。笑
運気論に興味をお持ちの方は御一読ください。
2019年は己亥の年。
▶︎己亥年は天刑の年
司天(上半期): 厥陰風木
中運(大運) : 土運不及
在泉(下半期): 少陽相火
司天の木が中運の土を剋す。
天の気が中運を克すので今年は天刑の年となる。
厥陰司天の年は中運が不及である。
したがって、己(つちのと)は陰干であるので少宮土運不及の年であり、我を克す木の風気が勝気となり、我が生む金の清気が復気となる。
この年、運気が雨、勝気が風、復気が清である(素問第71六元正紀大論篇、20節)。
勝復の気が現れる時期を邪化日といい、勝気は土用と長夏、復気は秋の時期にあたる。災害の起こる地域は中央五官(中原地区:黄河中下流域。災害の起こる場所に関しては、黄帝内経中では中華本土のことを記載しているため)。
▶︎土運不及と木の平気の両方の化育の作用が現れる
司天の木気が土に勝つので、木兼土化(兼化)となり、木運が平気となったうえで土運不及を兼ねるため、木の平気と土運不及の両方の化育が現れる。
土運の不及を卑監(減化)といい、土の生化の気が損なわれ、万物は軟弱無力となる。そのうえで、木の生化の気が旺して、土運が更に衰えることにより土運が木気に温順しく従うため、木が平気となる。
(平気とは、太過でも不及でもない気を指す)
したがって、木の正常の徳性である敷和の作用により草木自然は外見が美麗に繁茂するが、土気の不足により中身があまり育たず、穂が出ても実がつかないなど、内実を伴わない。中でも黄色の穀物に関しては育ちが悪い。
また、土気の不足により水気が制御されなければ、雨が不規則に降ったり湿雨が続く。
もし、木が変じて災いとなると(勝気の出現)、狂怒の旋風(非常に強い風)が吹いて草木を揺らして枝葉をヘシ折り、凋落させる。
土鬱の発気が金の復気を引き起こし、木に報復すれば、秋の収気である厳粛な峻烈の気が、堅固な樹木の枝葉をも落とすようになり、土の生気はますます抑圧される。甘く黄色い作物は虫に食べられ、青色の穀物が害を受ける。
人体への影響に関しては、
脾土が侵されるために、消化不良の下痢や嘔吐、胃腸が張って通ぜず、感染性の化膿性疾患(土が水を剋せないので膿がたまりやすい)が多くなる。
風木の邪気により、筋骨が動揺して肌肉がひきつれて痛み身体が重だるく、常時怒りっぽくなる。
金の復気が現れてからは、胸脇の痛みや下腹部痛、食欲が減って味がわかりにくくなったり、溜息が多くなる。
下半期を主る在泉少陽相火の影響が現れれば、風や熱気が旺盛となるので、冬眠するはずの動物は眠らず活動し、河川の流氷は凍らないなどの現象がみられる。
また、土が火気の助けを得るがために、木気が土を剋しておくことができなくなるが故、金の復気の反応もなくなり、土気が平定し、人々は健康で快適に感じるようになる。
但し、司天の厥陰風木と在泉の少陽相火により、風と火が互いを煽り立て、温熱と風の気候が強くなり過ぎれば、人体にも急に症状が現れ、高熱がでて津液が傷つけられ、眩暈や耳鳴りが起こる。
司天の政は揺れ動き、在泉の令は迅速にして、青色と赤色の穀類(歳谷という)に応じ、間谷は左右間気を感受して成熟できる。寒毒の物は生長できず、火が金を剋し、辛味の作物は生長できず、苦味と酸味の物は生長する。
(上述の自然現象や人体への影響は黄帝内経素問第69篇気交變大論、第70篇五常政大論に散見する記載をまとめたもの)。
さて、上記が黄帝内経に書かれた内容を2019年版としてまとめたものです。
己亥年は基本的な気候や自然現象がこのようになるでしょうということで、この他に大運の気淫や気迫、司天在泉の気交の強弱と失守位や、客気の不退位や不遷正、勝復の気の出現など、不確定要素による影響があり、それらによっては必ずしもこの通りにならないとしています。
場所に関しても、中国や日本では通用するかもしれませんが、北欧や南米など緯度が違えば、陰陽の気の配分が異なるので(極に近づけば近づくほど、陰気と陽気の偏りも極端になり、四季のような多彩な気候も現れにくくなる)、ここに書かれた内容の通りにはいかないでしょう。
そういう傾向がある、ということです。
ただ、運気という一定の規律に従って、
自然現象を説明しようとするのは大変に興味深いですね。
ここまで読んでくださった方なら、おそらく私と同類(笑)、このようなことに興味をお持ちの方なのでしょう。
これまでは、今年一年を通しての大きな運気をみてきました。
ここからは、一年を各六気の時節(六歩といいます)に分けて、今年の運気を再度確認していきましょう。
六気ではなく、
五運によってみていく方法もあるのですが、
今年は気が運に剋つ天刑の年ですから、気の方を主にみるという考え方があります。
したがって、本稿では天干から算出する五運の分析は割愛させてもらい、地支から算出する六気の方を記述しておきます。
▶︎主客加臨
毎年の六気には、主気と客気の別があり、
主気の次序は毎年同じで変わりません。
客気の次序はその年の地支によって変化します。
毎年不変の主気の上に、
年ごとに変化する客気を載せて分析するのです。
これを「客主加臨」といいます。
詳しい推算方法は別稿で解説する予定ですが、
まずは本年の主気及び客気の六歩を示します。
先に2019年の各歩の期間を表します
(一歩は60日と87.5刻で4つの節気)。
第四歩(四之気):大暑〜白露 7/23〜9/22
ここに、主気と客気を示します。
主気 客気 逆順
第一歩:厥陰風木 / 陽明燥金 順
第ニ歩:少陰君火 / 太陽寒水 順
第三歩:少陽相火 / 厥陰風木 順
第四歩:太陰湿土 / 少陰君火 順
第五歩:陽明燥金 / 太陰湿土 順
第六歩:太陽寒水 / 少陽相火 逆
と、このようになります。
逆と順を示しましたが、
主気と客気の二者間を論じる時には、
勝気があって復気はありません。
客気を主としますので、
客気が主気を生ずる、あるいは
客気が主気を剋せば順となり、気候の異常変化はあまり大きくありません。
主気が客気を生んだり剋せば逆となり、
気候の異常変化が大きく、発病しやすくなります。
(素問第74篇至眞要大論篇)
解説
<第一歩>
客気の金の涼気により、寒気厳しく殺伐の気がでるため、人においては寒性の病や流行性の風邪を患い、右半身下部に寒病が起こる。
<第ニ歩>
太陽寒水が少陰君火を抑え、寒冷の気がなかなか去らず、寒冷の雨水が降りやすい。
今年は木気が蔓延るので、陽気が戻り、内に熱がこもりやすくなれば、花粉症などがひどい。
<第三歩>
この時期司天である厥陰風木の政が最も発現するので、大風が吹く。人においては涙が出るなどの目の症状や眩暈や耳鳴りがでる。
<第四歩>
太陰湿土と少陰君火であるため、暑湿の気がでて蒸し暑くなる。
人においては湿熱により左半身上部の病、黄疸や浮腫や胃腸の不調、皮膚の化膿性疾患がみられる。
<第五歩>
燥気と湿気がせめぎ合い、寒気が沈降して、風雨が起こり、寒気が人体に侵入しやすくなり下部を襲う。
<第六歩>
本年、この時期第六歩においてのみ「逆」であり、気候の異常変化が大きくでやすい。
少陽の烈火が主令であるため、陽気が興盛で、通常は冬ごもりをする虫も活動し、流氷は凍らない。
しかし、土の不及が火の助けを得るため、人においては快適に感じられ、発病するとすれば流行性の温病や瘰癧、大熱消爍し、肺金への侵襲がみられる。
(ここで挙げた各病症は、素問第71篇 六元正紀大論に記載されている)
以上が、2019年の五運六気でした。
治療においても、
この運気を利用して
季節ごとに治療を変えて進めることが大切です。
なぜなら、天人合一であり、
人は自然の影響を必ず受けて生活しているためです。
その人の生まれた年月日の運気が、
今年の運気と合わないがために発病している場合を、特別に「運気病」といいます。
その年を事前に予測して、
予防することも可能であるため、
このような知識も必要となってくるのです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
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