冬の養生法
こんにちは!
京都東山三条の
院長の長濱です。
当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
冬の養生をご紹介します。
まず始めに、冬の期間ですが、毎年11 月7日前後の立冬〜2月4日前後の立春までの3ヶ月間です。二十四節気でいえば、立冬・小雪・大雪・冬至・小寒・大寒の六節気となります。
冬の養生について、古医書である《黄帝内経素問・四気調神大論》にはこのように記述されています。
冬三月.此謂閉藏.水冰地坼.無擾乎陽.早臥晩起.必待日光.使志若伏若匿.若有私意.若已有得.去寒就温.無泄皮膚.使氣亟奪.此冬氣之應.養藏之道也.逆之則傷腎.春爲痿厥.奉生者少
(冬の三ヶ月は万物の生活機能が潜伏閉蔵する季節である。だから河の水は氷り、地面は凍って裂ける。この時期には、人は陽気をかき乱してはならない。少し早く眠り、少し遅く起きるべきであり、起床と就寝の時間は、日の出と日の入りを基準とするがよい。心を埋め伏し、しまい隠しているかのように安静にさせる。ちょうど人に話しにくい私情があるかのように。また、すでに秘密をつかんだような愉快な気分で、極寒を避け、温暖に保ち、皮膚を開いて汗をだすようなことをして、閉蔵している陽気に影響を受けさせてはならない。これがつまり、冬に適応して「蔵気」を養うという道理である。もし、この道理に反すると、腎気を損傷し、来春になって痿厥の病を発生し、人が春の生気に適応するという能力を減少させてしまう。)
『現代語訳 黄帝内経素問 上巻 東洋学術出版社』
これを参考に、冬の養生についてご紹介していきます。
1.閉蔵の季節
冬は「閉蔵」の季節と呼ばれます。「閉蔵」というのは、一年で一番寒く陰が盛んとなる時期に、陽気をかばって漏らさないためにしまい込むと同時に、陽のエネルギーを深部に集め、「核」となって次の生命を生み出す準備をする、という意味があります。
冬季は、草木が凋零する代わりに根を強くして種をなし、動物は冬眠し、虫は地中に潜って、万物もこれと同じように閉蔵します。“天人相応”の原則からいえば、斂陽保陰(陽を収めてかばい、陰を保持する)という二点が大切となります。例えば人体の自然な反応としても、夏は皮膚表面に気血を集めて汗や熱を放散する必要がありましたが、冬は熱を逃してはいけないので、気血は身体の深部の方に集めて守ります。夏と冬では気温に40度ほど差がありますから、この気温差に身体も対応しているのです。
エネルギーを深くに凝集して、次代の生命につなぐ働きは、腎の働きに相当します。故に、冬は腎気が盛んになり、冬に腎の養生がうまくいかないと、春になって身体を軽快に動かしてゆく“生”の気の発現ができず、身体がだるく足腰が立たず、春に病を患うことになってしまいます。腎は人体を維持する基本物質の一つ「精」を蔵する働きがあるので、腎を傷めると翌年の春に精という基礎物質を提供できなくなるのも、一因です。
腎を守るためには、冷えに気をつけなければなりません。冬の気候の特徴は寒であり、寒邪も外寒と内寒に分かれますが、どちらにしても身体の陽気を損なうのを避けることが、腎のエネルギーを守ることにつながります。
そのために、先にご紹介しました黄帝内経には、すべて陽気を損なわず腎を守るための生活の仕方が書かれているのです。
内容をまとめると、
- 早く寝て遅く起きる
- 精神を落ち着ける
- 汗をかきすぎない
ということが書かれています。
順に解説してみます。
●冬はやや早く寝て遅く起きるというのは、冬は日の出から日没までの時間が短いので、なるべく太陽の出ている時間に動くことで、陽気を失うのをかばいます。と同時に、寝て身体を休める時間を長くとって陰気を確保します。具体的には、夜は亥刻(21:00〜23:00)、朝は卯刻の遅め(6:30〜7:30)に太陽が昇ってから起きると良いでしょう。
●冬季六節気は精神を落ち着かせることが重要です。これは、喜怒哀楽すべてにおいてです。心志を安定させることに重きをおきます。情志を過激に掻き立てて、潜伏していた陽気を撹乱するようなことをしては、せっかくかばっていた陽気が散じてしまうからです。情動が過ぎると病気になるという考え方は、心身一如とする東洋医学の特徴です。特に「驚き」や「恐怖」の感情は、腎と関わりが大きく、腎気を損ないます。
●汗は、陽気が漏れ出たものです。つまり、激しい運動をしたり、サウナに入ったり、辛いものを食べて汗をかくことは、陽気の脱失に繋がります。また、冬は寒いので冷えに気をつけましょうと述べましたが、暖房をかけ過ぎたり厚着をしすぎて発汗することも避けねばなりません。冬の運動に関しては、朝に日が出てから昼くらいまでの陽気の多い時間帯に、少し汗が滲むくらいの活動量であれば、やった方が良いでしょう。
冬は陽気は内にあり、陰気は外にあるのが「順」です。もし冬に過剰に辛いもの、熱いものを食べたり、暖かくし過ぎて、内にある陽気を撹乱させれば、外に漏らして冷えの病になるか、内に積熱してこもり、陰虚火旺の症候が現れ、春に温病を患ったり、宿疾(長い間治らない病気)に悩まされることになるため、秋冬は陰気を養うということも重要なのです。
2.少鹹多苦、補助心気
冬は腎気の旺する(盛んになる)季節と述べました。腎は人体の水に相当します。人体の水気が多すぎると、火の性質である心臓に負担がかかるのです。心臓もポンプですから、多くて押し詰まった水を流すのは大変なのです。そこに寒さが加わるので、心臓などでますます負荷がかかり、狭心症、心筋梗塞、高血圧、脳卒中などを発症しやすく、注意が必要です。
冬には腎気を保護すると同時に、心気を養うことが重要となってきます。
そこで、食養生としては腎に作用する鹹(塩からい)味を控えて、心気を助ける苦味を多く摂ることが基本となります。
鹹(塩からい)味は、どうして冬に心臓に負担をかけてしまうのでしょうか。
塩分といえば、もともと海からきているものです。海に塩分があるからこそ、浸透圧でもって、海は太陽の熱で水を蒸発させすぎずに蓄えることができます。要するに、塩分は保水の働きをするということです。これと同様で、血液中の塩分濃度が高まると、身体各所の細胞から血液中へと水分が引き込まれ(脱水)、さらに口渇による水の摂取も増えて、血液量が増加します。当然高血圧にもなりますし、心臓にも負担がかかり、機能が低下するということです。
こうした理由から、鹹味は控えて、心気を助ける苦味を摂取することが冬の養生では大切です。
例えば、春菊、苦瓜、たけのこ、羊肉、紅茶、ココア、などを摂ると良いでしょう。
その他、身体を温めるものとして、旬の根菜類、紫蘇、ネギ、クルミ、サツマイモや栗も冬に良い食べ物です。
3.黒色の食べ物は腎に入る
自然界の五色の配属中、黒色は腎に属し、黒い食べ物は腎に入ります。中国の民間節気に“數九(冬九九)”というのがあり、毎年12月下旬頃、冬至の最初の壬日から起算して約八十一日間であり、寒さが厳しい時期です。これを過ぎると暖気が出てき始めると言われています。
中国では、この“數九”の時期に、黒色の食べ物を食べるという風習がありました。黒色の食べ物は腎気を養い、寒さに対する抵抗力をつけるからです。
例えば、
黒米、黒豆、黒胡麻、黒木耳、昆布・海苔・モズクなどの海藻類です。
黒米は胃腸を強くし、肝を温め、身体の中部を強壮します。黒豆と黒胡麻の栄養素はコレステロールを下げ、正常な血液循環を助けます。黒木耳(キクラゲ)の豊富な鉄分は貧血と寒がりの症状を改善します。昆布・海苔・モズクはアルギン酸、ヨウ素、カルシウムなどが豊富で、血管を柔らかくして血液循環を促し、甲状腺ホルモンの合成と分泌と促進させ、耐寒性を高めます。
4.さいごに
冬は、風邪やインフルエンザが流行しやすい時期です。これらを予防し、また治すには結局は自身の免疫力にかかっています。
風邪をひいて熱がでたときに免疫力を高める重湯のレシピをご紹介します。しんどい時、簡単につくれます。
- 昆布やワカメなどの海藻を細かく切り、炊いておいたごはんと一緒に鍋に入れる。
- ごはんの8倍の量の水をいれ、トロトロになるまで煮込む。
- そうしてできた上澄みが重湯で、これを飲む。
- 底に残ったごはんはすり潰して食べてもよい。
昆布・ワカメ・モズクなどの褐藻類に含まれるフコイダンには抗インフルエンザ作用があるので、予防に毎日食しても良いでしょう。
以下のリンクは白澤堂のホームページのブログですが、免疫力を高める他のレシピをご紹介しています。とても優秀なレシピだと思いますので、是非活用して冬を乗り切ってください。
https://hakutakudou.com/2019/10/22/akifuyu-youjyou/
鍼灸・接骨院 白澤堂HAKUTAKUDOU – 京都市東山区三条で頭・肩・腰の痛みや不調につよい鍼灸院・接骨院